ニュークロップとは収穫年度内の生豆のことです。
オールドクロップとはニュークロップを温度、湿度などを制御した保管場所で短いもので数年間、長いものでは数十年間寝かせたもののことで、寝かせることをエージングといいます。
生豆に含まれるしょ成分は、時間の経過に伴って次第に変化していきます。
焙煎するとコーヒーは褐色化していきますが、褐色化の反応は加熱しなくても少しは進行しますので、長時間寝かせた生豆は緑色を失い、淡い褐色に変わります。
生豆を寝かせることは海外の少し古い文献にも出てきますので、エージングは日本独特の文化ではないようです。
でも、なぜ寝かせるのでしょうか?
オールドクロップ派によると、味がマイルドになることなどがその理由として挙げられています。
たしかにその傾向はあります。
コーヒーの風味を形成する糖やクロロゲン酸類などは、エージング中に生豆から少しずつ失われていきますから、当然といえば当然です。
しかし、もともと個性の乏しい生豆をエージングすると、ただのスカスカのコーヒーになってしまうこともあります。
オールドクロップには、個性が強くてニュークロップの状態では味が強すぎるような生豆が向いているといわれています。
実際にはエージングしてみないとわからない部分もあって、風味が抜け過ぎて商品価値を失ってしまう生豆も出てくるようです。
オールドクロップは時間と労力をかけて選び抜かれたこだわりのコーヒーだと言っても過言ではないでしょう。
一般に流通しているコーヒーには、収穫後一年も立たずに古米臭のような独特のにおいを出すものも多くありますが、オールドクロップの中にはその不快な匂いがないものや、マイルドなコクを楽しめるものがたしかにあります。
これはとても不思議です。
ところで、ニュークロップとオールドクロップとどちらが優れているのでしょうか?
ニュークロップには独特のフレッシュな香りがあり、味の輪郭もはっきりとしている点が特徴的です。
両者は対極的なコーヒーと言っても過言ではないでしょう。
これは優劣の問題ではなく、嗜好の問題だと思いますが、良質のオールドクロップには別の良さを感じます。