カフェインはコーヒーを代表する成分だといえるかもしれません。
コーヒーにカフェインが含まれていなかったら、ひょっとするとコーヒーはこれほどポピュラーな飲み物になっていなかったのではないでしょうか。
その薬理作用はコーヒーの大きな魅力の一つです。
カフェインという名称は、1820年頃にドイツの化学者ルンゲがコーヒー豆から取り出すことに成功したことを起源としています。
数年後にはお茶から取り出された同じ物質がお茶由来であることからテインと名付けられ、これはその後カフェインに統一されるのですが、もしルンゲの仕事が数年遅れていたら、私たちはこの物質をテインと読んでいたことになります。
余談になりますが、ルンゲにコーヒーの研究を進めたのは文豪、科学者、そしてコーヒー愛好家だったゲーテであるといる逸話も残っています。
カフェインはアラビカ種よりもカネフォラ種に多く含まれています。
熱に強い成分ですが、焙煎時の熱で一部気化してしまいます。
コーヒー豆を焙煎したことのある人なら焙煎機の内部や煙突に白い物質が付着することを経験しているかと思いますが、あの白い物質がカフェインです。
焙煎中にカフェインが減ることを根拠に、「深煎りの方がカフェインが少なくてヘルシー」といわれますが、これは二重の誤解を含んでいます。
一つ目の誤解は、「深煎りにするとカフェインが少なくなる」という点です。
確かにカフェインは減少するのですが、焙煎によって豆の重量自体も同じように減少します。
例えば、豆の重量が15%目減りしているときには、カフェインも15%目減りします。
結果的には、深く煎ろうが浅く煎ろうが、カフェインの含有率はほぼ変わらないことになり、同じ重量を使って淹れればカフェイン量は変わらないことになります。
2つ目の誤解は、「カフェインが少ないとヘルシーである」という点です。
カフェインにはさまざまな薬理作用があり、妊娠中であるとか、胃が荒れているとか、状況によっては摂取を控えた方がいい場合もありますが、適量を取れば披疲労回復などむしろ体に好ましい変化を与えます。