コーヒーの苦みの成分としてはカフェインが有名ですが、実際には、カフェインは苦みとして感じられる成分のうちのせいぜい10%程度だといわれています。
これは焙煎豆に含まれるカフェインの濃度が焙煎度によらずほぼ一定であることや、カフェインレスコーヒーでも苦味があることを考えると明らかでしょう。
では、残りの90%はなんなのでしょう?
コーヒーの苦みのもとの一つは褐色色素です。
褐色色素は大きさによって大まかに分類することができ、大きなものほど苦味が強くなります。
コーヒーの場合、深煎りになるにつれて褐色色素の量が増え、大きな(苦味の強い)色素の割合が増えていきます。
これは深煎り豆で淹れたコーヒーほど苦みを強く、質感を重く感じる私たちの日常の経験と一致します。
実はアラビカ種とカネフォラ種では、苦みの強さや質が違います。
これも褐色色素の量と大きさの違いに起因しています。
カネフォラ種はアラビカ種に比べて少糖類の含有率が低いためにカラメル化があまり起こらず、大きな色素がつくられやすい傾向があります。
そのため焙煎度の割には苦みの質が重くなりがちです。
苦みのもととしてもう一つ考えられるのは、アミノ酸やタンパク質が加熱された時にできるジケトピペラジンという物質で、くっつき方によって苦みの一部を構成する物質としても知られています。
では、苦みの強さや質をコントロールすることはできないのでしょうか?
これはもちろん可能です。
豆の種類や焙煎度、焙煎方法を変えれば苦みは変わりますし、抽出の仕方によっても変えることができます。