コーヒーの価格は、基本的には需要と供給のバランスで決まります。
アラビカ種の場合はニューヨークの定期市場、カネフォラ種の場合はロンドンの定期市場での価格がベースになりますが、豊作が見込まれたら価格は下がりますし、生産国の政情不安、天候不順による減産が見込まれたら価格は上がります。
また、投機目的で行われる売買の影響を受け、需給バランスと関係なく価格が変動することもあります。
2000年時代はじめ、ブラジル、ベトナムでの増産によって供給過多となり価格は低迷していました。
当時はどんな豆を使っても採算があったので、真剣にコスト計算することもなく商品が開発されていました。
数年後、価格が低迷します。
産地にいくと、放棄されて荒廃した農園を目のあたりにし、学校に行けなくなったこどもたちに会いました。
生産量の多い国や投機筋の動向だけで価格が決められ、生産コスト分の収入すら保証されない状況で価格が低迷することが、コーヒーの世界を支えている生産農家に深刻なダメージを与えるか思い知ったのです。
やがてダメージを受けるのは生産農家だけではないことに気付きました。
今度が供給不足を背景にコーヒーの価格は上昇に転じたのです。
低迷から5年ほどで価格は3倍になりました。
ブレンド作りはコスト計算から始まるようになりました。
販売価格を維量するために、安い原料を求めるようになりました。
原料価格を抑えることでカバーできればまだいい方で、売れば売るほど赤字が膨らむ商品もでてきました。
ダメージを受けたのはメーカーだけではありません。
買い叩かれた影響で、生豆の品質は低下しました。
前述の通り、販売価格維持のためコーヒーの品質の低下も起こりました。
価格で商品を選んでいた消費者が手にしていたコーヒーの品質は確実に低下したはずです。
コーヒーの価格は変動するものです。
手にする商品の価格にこだわりすぎてしまうと、風味まで変動してしまうことになります。
それでもかまわないという選択肢もあるとは思いますが、個人的には風味の安定、向上を求める消費者が一人でも増えることを強く願っています。