コーヒーの豆や粉は容器に詰めて販売されています。
この容器の素材を包材と呼んでいます。
コーヒーの包装には、すぐに他の容器に移し替えることが前提になっている簡易的なものから、長期間の保存を念頭に置いて劣化の要因をできるだけ取り除いたものまで、さまざまな目的・形態があります。
そして、どのレベルで包装を行うかに売り手のコンセプトが現れます。
こまめに買いに来てもらうことを前提に短期間で消費されるコーヒーづくりを目指すのであれば、包装にコストをかけることは過剰投資になりかねません。
一方、風味をできるだけ長期間保つことを目的とするのであれば、包装方法や包材について熟知しておかなければなりません。
風味をできるだけ長期間保つには、包装時にコーヒーの劣化の原因となる酸素や水分を除去し、その環境を維持することが必要です。
空気中には、20%程度の酸素が含まれていますが、これを1%以下にする必要があり、また、焙煎後のコーヒーは吸湿性が高いので乾燥した環境を作らなければなりません。
酸素や水分の除去に有効な包装形態はいくつかありますが、その基本となるのは不活性ガス置換です。
これは窒素や二酸化炭素など反応性の低いガスを包装時に容器内に吹き込んで酸素や水分を追い出して上でシール(密封)する方法です。
非常に単純な方法ですが、効果は十分です。
不活性ガス置換は単独で行われる場合もありますし、他の包装方法と組み合わせて行われることもあります。
二つ目の方法は、ワンウェイバルブを取り付ける方法です。
豆や粉から出てくる二酸化炭素によって容器ないの圧力が上昇すると、バルブを通して二酸化炭素と一緒に酸素や水分も排出される仕組みです。
“ワンウェイ(片道)”の名の通り、内部から外部への排出のみで外部から内部へは進入しないため、容器内の残存酸素濃度は低下し、内部は二酸化炭素置換された状態になります。
しかしこの方法の場合、前述の不活性ガス置換を併用しないと酸素や水分の影響を取り除くのにかなりの時間がかかkり、十分な効果は期待できません。
三つ目の方法は、真空包装です。
真空パックは、消費者には長持ちする保存方法としてのイメージがありますが、真空にしても容器の中の酸素や水分濃度が低くなるわけではないので、それだけで十分な効果が期待できません。
この方法も不活性ガス置換を併用することで長期保存性が高まります。
4つ目は、脱酸素剤を封入して酸素とある程度の水分を取り除く方法です。
これは他の方法と違って、化学反応によって酸素と水分を減らします。
(この化学反応は使い捨てカイロの中で起こるものと同様です。)
コーヒーの包装方法
不活性ガス置換 | 窒素、二酸化炭素を容器に吹き込んで水分と酸素を除去 |
バルブ付き包装 | ワンウェイバルブから水分と酸素を二酸化炭素と一緒に徐々に排出 |
真空包装 | 吸引による水分と空気をある程度除去(容器内の水分とさんがなくなるわけではない) |
脱酸素剤封入包装 | 酸素とある程度の水分を化学的に除去 ものによっては二酸化炭素も吸収 |