コーヒーはもともと木になる果実。
その赤い実の種を取り出し、焙煎したのがコーヒー豆。
日本にはコーヒー農園がなく、コーヒーといえば缶コーヒーというイメージも強いためか、どうしても工業製品のように見えがち。
原料であるコーヒーの木なんて、馴染みないし見たこともない人も多いんじゃないかな。
今回は、そんなコーヒーの木について。
コーヒーの木とは
そもそもコーヒーの木とは、『被子植物門双子葉植物網アカネ目アカネ科コーヒーノキ』という名称の植物のこと。
コーヒーノキと呼ぶ。
ちなみに、コーヒーが採れるから“コーヒーノキ”という名前ね。
すごく分かりやすいでしょう?
なんで日本人はコーヒーの木に馴染みないかというと、日本はコーヒーの栽培環境に適していなくて、ほとんど栽培されていないから。
コーヒーは、ざっくり北緯25度線と南緯25度線との間のコーヒーベルトと呼ばれる地域で作ることができる。

地図を見れば分かると思うけど、日本はぎりぎり該当していない。
そのため、日本ではコーヒーの栽培はされていなかった。
他から、安く買えるからわざわざ作る必要もなかったということもあるけど。
最近になって、日本でもコーヒーを作りたいという人が出てきて、沖縄や鹿児島あたりで頑張っている。
まだまだ時間はかかりそうな感じだったけど、もう数年もしたら、おいしい国産コーヒーができるかもしれない。
個人的には、すごく楽しみ。
コーヒーの木の育ち方
大きくなればコーヒーの実をつけるコーヒーの木も最初は苗床から。
幼いコーヒーの木のうちは、最初は苗床でしばらく育てられる。
そして、生育の良いものだけが栽培地に植え替えられて、もっと大きくなるように育てられていくことになる。
ちなみに、コーヒーの木なら、日本でもよく売っている。
普通にネットで購入可能。

観葉植物としてなら、日本でも意外と育てられるんだよね。
意外と知られていない事実。
ちゃんと、大きく育てば、花をつけたりするようにもなる。
意外と種類がいろいろあって、コーヒーらしく麻袋に入ったものや。

カフェのテイクアウト風のカップに入ったものとかもある。

なかなかユーモアにとんでいて面白い。
育て方は、また今度紹介しようかな。
コーヒーの木の育ち方に話を戻すと
コーヒーの木ももちろん植物なわけだから、通常の農業と同じように、しっかりと育つように水や肥料を与え、雑草を取り除く必要がある。
病気や害虫におそわれないよう予防も必須。
だいたい植えられて3年ぐらいで、一年に一度真っ白な花を咲かせるようになるかな。

さすがに私もその瞬間に立ち会ったことはないけど、いつも緑色の農園が真っ白に染まり、ジャスミンのような甘い香りに包まれるとのこと。
連絡を受けて、写真や動画は見たことがあるけど、すごく綺麗。
一度は見てみたい。
ただ、このコーヒーの花の命はとても短いんだよね。
だいたい3日ほどでしおれはじめ、1種間もすれば落ちてしまう。
本当に、はかない命。
そして、いよいよ花が落ちてしまった後に残るのがコーヒーの実だ。
コーヒーの木は品種によって受精の仕方が違う
ちなみに、コーヒーの木は品種によって受精の方法も違う。
コーヒーにも、花や米のような食物と同じように品種がある。
有名なのが、アラビカ種とカネフォラ種だよね。
アラビカ種は、コーヒーの流通量の65%を、カネフォラ種は35%ほどを占めている。
カネフォラと言われてもあまり馴染みないかもしれないけど、ロブスタのこと。
ロブスタはカネフォラの一種なんだけど、あまりに有名なのでカネフォラ種の代名詞のようになってしまった。
そんなアラビカ種とカネフォラ種は、受精の仕方も違う。
具体的には、こんな風に。
アラビカ種:同じ花のめしべとおしべで受精可能
カネフォラ種:同じ花のめしべとおしべで受精不可
アラビカ種は、同じ花のめしべとおしべで受精することができる。
つまり、風や虫の力を借りずに身を実らせることができるということ。
対して、カネフォラ種は遺伝的に同じ花のめしべとおしべでは受精ができない。
そのため、風や虫の力を借りて受精する必要がある。
同じコーヒーの木でも、結構違うってこと。
コーヒーの木の実は赤く色づく

さて、コーヒーの実の話に戻ろう。
コーヒーの実も始めは小さく緑色。
だんだんと完熟することで、赤く色づくようになってくる。
上の写真は、まだ完熟前のコーヒーの実。
周りの赤い実のように、成熟とともに半年ぐらいかけて色づいているのがわかるかな。
完熟するときの色は通常赤だけど、品種によっては黄色やピンクに完熟する品種もある。
突然変異や、品種改良によって生まれる品種で、希少性の高さから高額になることも。
ただ、味わいはそこまで大きく変わらない気もする。
コーヒーの木の実の収穫は手作業か機械
コーヒーの実が完熟したら、いよいよ収穫。
収穫方法は地域や農園によって様々あるけど、大きく分けると手づみか機械式かのどちらかかな。
この動画は機械で収穫している様子。
ブラジルのような広大で平らな土地で栽培している場合は、機械式が多く、中南米の山間部で栽培している場合は、機械を持ち込めないので手づみが多い。
手づみと機械式どちらも一長一短あって、一概にどっちがいいとは言えないもの。
ただ、一般的には手づみの方が美味しいとされている。
というのも、機械式だと早く収穫ができるものの、完熟している豆とそうでない豆を混ぜてしまう可能性があるから。
完熟している豆とそうでない豆が混ざってしまうと、どうしても美味しい珈琲はできなくない。
この写真のように、彩り豊かとなってしまうからね。

コーヒーの木の実の収穫が終わった後はどうするの?
収穫が終わった後も、それで「はい、終了」というわけではない。
もちろん翌年の収穫に向けての準備が必要になる。
たとえば、土の状態を調べて足りない肥料を補ったり、選定したりと作業は続いていく。
生豆となる種子を取り出した後の果肉を使った肥料作りをしているところもあるかな。
コーヒーの木の寿命はどのくらい?
毎年収穫できるコーヒーの木ですが、どのぐらいの間生きることができるのか?
どのぐらい生きるかは正直、まちまち。
というのも、どういう風に生きてきたかにもよるから。
毎年たくさんの実を実らせると十数年で力尽きてしまい、植え替えが必要になる。
逆に、無理をさせずに育てると何十年も収穫し続けることもできる。
年長者だと、100年を超えて、いまだに実を作っている木もあると言われているほど。
結局のところ、人間と同じで、太く短く生きるか、細く長く生きるかの違いってこと。