生豆を扱う輸出業者・輸入商社、焙煎業者は、手元に届いた生豆のサンプルで、その品質をチェックします。
その中には外観が通常と異なっている豆(栽培、収穫、精選、保存、輸送などの過程で変質します)、石や枝などの異物がまじっていることがあります。
これらを私たちプロは「欠点」と呼びます。
「欠点」にはいろいろなものがあり、何を「欠点」とみなすか、まらそれらがどの程度品質に影響を及ぼすとみなすかは、各生産国や評価機関によって定められており、それぞれ基準が異なっています。
国際標準化機構(ISO)が定めた国際基準ISO10470には、いろいろな「欠点」について、どの工程中に何が原因で発生するか、外観の特徴は何か、格付けや風味にどのように影響を及ぼすか、が具体的に記されています。
黒豆は一粒混入しただけで、一杯のコーヒーの風味を台無しにしてしまうといわれることもあります。
通常の生豆ろ色がまったく違うので見つけることは簡単です。
発酵豆も見た目で簡単にわかります。
赤みを帯びている点が特徴的です。
カビ豆(表面にカビが生えた豆)は滅多にありませんが、あっても見つけやすいといえます。
虫食い豆も跡があるので見つけやすいといっていいでしょう。
未成熟豆は、独特の緑色をしたやや小さめの豆ですが、焙煎後の方が見つけやすいかもしれません。
未成熟豆は正常な豆と成分が異なるために死豆(色づきの著しく悪い豆)になります。
異物とみなされるものには、パーチメント(生豆を包んでいる殻)のかけら、パーチメントが残っている豆、ドライチェリー(乾燥した果実)、石や土や木片などがあります。
これらは味に与える影響というよりも、精選業者の技術力や農家に対する指導力を見る指標になります。
なお、異味異臭の原因となる豆には外観ではわからないものもあり、カビのようなにおいが出たり、塩素のようなにおいが出たりすることがあります。
このようなにおいのリスクを減らすには、カッピング(品質評価のための試飲)を行うことが重要になってきます。
主要な欠点の特徴・原因・影響
欠点名 | 特徴 | 原因 | 影響 |
黒豆 (black bean) | 黒く変色している/一般的に小さい | 菌によるダメージ/未成熟豆の不適切な乾燥など | 色ムラ/不快なフレーバー |
発酵豆 (sour bean) | 赤みを帯びている | 過発酵 | 不快なフレーバー |
カビ豆 (fungus dameged bean) | 生豆表面のカビを肉眼で確認できる | 保管環境/輸送環境の不備 | カビ臭 |
貝殻豆 (shell bean) | くぼみがある | 生育不良 | 焦げる |
虫食い豆 (insect dameged bean) | 虫食いの跡がある | 栽培時もしくは保管中の虫食い | 色ムラや不快なフレーバー(栽培時の虫食い) |
未成熟豆 (immature bean) | しわが寄っている/粘着性の銀皮/メタリックな緑色 | 未成熟 | 色ムラ/収歛味 |
フローター (floater bean) | 水に浮く | 不適切な保管・乾燥 | 不快なフレーバー |
しわ豆 (withered bean) | 表面に深いしわがある | 生育不良 | 不快なフレーバー |