ネルドリップという淹れ方をご存知でしょうか?
ネルドリップとは、ペーパーやドリッパーの代わりにネルを使って、コーヒーを入れる方法です。
ネルとは、片側が起毛した布のこと。
こういうものですね。

ネルドリップはペーパードリップが普及する前に、行われていた抽出方法です。
日本でもひと昔前に、とても流行していましたね。
古き良き喫茶店文化では、ネルやサイフォンが主流だったと聞きます。
いまでも一部からは絶大な人気を誇っています。
ネルドリップの特徴

ネルドリップの一番の特徴は『目が粗い』ということ。
ネルドリップも抽出方法自体は、ペーパードリップとほとんど一緒です。
ただし目が粗いので、ペーパードリップよりも濾過スピードが速く、目が粗いぶん抽出される成分も多いというという特徴があります。
そのため、多めの量を淹れる時でも短時間で抽出することができます。
逆に、一杯だけなど少量のときは、注ぎ方次第で大きく味が変わってしまいます。
技術力が試される瞬間です。

また、ネルドリップの味の特徴として、独特のねっとり感があります。
ねっとり感の正体は、コーヒー豆に含まれる脂質です。
ペーパーフィルターの場合は、目が細かいので脂質もカットされますが、ネルの場合は目が粗いため、脂質も一緒に抽出されます。
そのため、独特の舌触りが生まれるんですね。
このねっとり感が好きな人も多いです。
ネルドリップを使うコツ
ネルドリップで淹れる方法には、様々な方法があります。
マニア受けする淹れ方なので、特に独自の文化が作られやすい傾向があるようです。
ちょっと調べると、さまざまなネルドリップ論が出てきます。
それぞれがこだわりを持てる世界観があるというのは、ネルドリップの魅力のひとつかもしれませんね。

ただ、共通していることもあります。
それはメンテナンスについて。
ネルドリップのメンテナンスの重要性と手間の多さは、淹れ方に関わらず共通です。
ポイントはこちらの3つ
・初めてのネル使用時は、煮沸する
・ネルは洗剤NG
・ネルは乾かしてはいけない
まず、おろしたてのネルはノリがついています。
そのため、ノリを落とすために一度、煮沸する必要があります。
使用前は必ず煮沸しておきましょう。
また、使用後はネルからコーヒーの抽出カスを取り除き、洗剤を使わずに水洗いしてください。
洗剤を使うと、どうしても洗剤の匂いが残ってしまいますので、注意しましょう。
ネルは使い込んでいくとだんだんと目詰まりしてしまいます。
目詰まりすると、濾過が遅くなっていきます。
使っていて遅くなるように感じたら、交換のタイミングです。
また、ネルは水洗いした後は、乾燥させてはいけません。
洗濯物のように干してしまいがちですが、乾かすのはNGです。
乾燥させてしまうと布に残ったコーヒーの成分が変質して、使い物にならなくなるくらいに臭くなってしまいます。
水洗いした後は、ぬれたままビニール袋に淹れたり、タッパーなどの容器に水に浸して置いておくといいですよ。
いろいろと手間のかかるネルですが、淹れ方次第で味が変わるので、凝りやすい淹れ方でもあります。
凝ってみるのがネルの楽しみのひとつです。
ペーパーに慣れてきたら、試してみると楽しいですよ。