アラビカ種はあまり日光を必要としない植物で、原産地エチオピアでは高地の日陰に自生しています。
この日陰をつくってくれる木をシェードツリーと言います。
最近は、コーヒーの栽培地域の環境の重要性が訴えられる機会が増えてきましたので、この言葉を耳にすることも多くなっていると思われます。
コーヒーの木とシェードツリーが作る豊かな森林は、そこで暮らす動物たちにたくさんの恩恵をもたらします。
シェードツリーの役割は、日陰を作ることだけではありません。
強い風から弱いコーヒーの木を守ってくれることもあります。
霜の害を防ぐ役割もあります。
しっかりと張られた根は土の中の養分を逃さないように保持してくれます。
最近では、シェードツリーに守られた木のつける実は大きく、熟度のばらつきが少ないこと、さらには年による収穫量のばらつきが少なく、木が長持ちすることも報告されています。
このようにたくさんの利点のあるシェードツリーですが、必要とされない場合もあります。
例えば、気象条件(霧など)によってはシェードツリーがなくても日照量を適度に保つことができますし、カビによる病気が蔓延しやすい地域では過湿を避けるためにあえて用いません。
また、作業性の高さや収穫量を追求して用いないこともあります。
一般に、日照量を多めにするとある程度までは収穫量が上がります。
品種によっては強い日差しに強かったり、自分自身の葉で陰をつくったりしますので、そのような品種を選んで肥料をたっぷり与えれば、おいしいコーヒーがたくさん作れることになります。
シェードツリーは古くからあるコーヒーの品種を昔ながらの方法で栽培する場合によく用いられますので、品質の観点から贔屓目に見られることが多々あります。
しかし、これは正しい見方ではないと思います。
品質を上げるために大切なのは、しれじれの品種に合った栽培をし、適切な精選を行うことで合って、シェードツリーはその中の一要素に過ぎません。