生豆は剥き出しの状態で袋詰めされて輸送されてきます。
たしかにあまり清潔なものではないかもしれません。
物によって、水に漬けると水が泥水のように濁ることもあります。
生豆に付着している微生物を検査してみると、私たちの目には見えませんが、生豆1gあたり1万個の菌(もちろん害を与えるような物ではありません)が検出されることも珍しくはありません。
しかし、洗う必要があるわけではありません。
焙煎時にはほこりなどの大部分は落ちてしまいますし、微生物は焙煎時の熱によってほぼ死滅してしまうからです。
逆に洗って使う場合には注意点が2つあります。
第1の注意点は、水につけ過ぎないことです。
水につける期間が長すぎるほど大切な風味の構成要素である諸成分が失われていくことになります。
第2の注意点は、適切に乾燥させることです。
この時、乾燥に時間がかかるとカビが繁殖することがあり、短時間で乾燥させると乾燥ムラができて焙煎時の煎りムラにつながることになってしまいます。
どうしても洗いたい場合は、サッと洗って適切に乾燥させ、できるだけ速やかに使うことをおすすめします。
一方で、矛盾するようですっが、コーヒーを販売する立場の人には生豆があまり清潔な物ではないという認識を持っておいて欲しいと思います。
なぜなら、生豆やそれが入っている麻袋は、最終製品である焙煎豆と同様に扱えるレベルの清潔さではないからです。
自家焙煎店などで焙煎豆の隣に麻袋が積んであったり、生豆が剥き出しのにされていたりする光景を見る機会が増えてきたように思います。
ディスプレイとしては効果的かもしれませんが、衛生的ではありません。
コーヒー業界は、コーヒーを「食品」として捉える意識のかなり低い業界ですが、その意識は変えていくべきだと思います。
お客様が直接口にする商品を平気で鷲掴みにしたり、清潔さに問題のある物と一緒に並べたりする業界は他にないのではないでしょうか。
これは意識の問題ですが、ときどき実害として現れることもあります。
生豆や麻袋に含まれるほこりは、アレルギー体質の人に痒みなどを引き起こす原因にもなります。
消費者にコーヒーを安心して楽しんでもらうために十分な配慮が必要です。